2024年度沖縄タイムス伝統芸能選考会「箏曲の部」新人賞の選考が15日、那覇市久茂地のタイムスホールで行われた。全審査終了後に結果が発表され、受験者14人のうち11人が入賞を果たした。箏曲は女性が多い中、30~40代前半の男性4人が受験し全員合格。琉球箏曲の関係者は「男性奏者が一気に増えて頼もしい」と喜んでいる。

 このうち石垣市の崎原克友さん(38)は織物作家の顔を持ち、ことしの第75回沖展で2回目の準会員賞に選ばれた。地元八重山の歌三線などに続いて習い始めた琉球箏曲。「芸能は伝統の着物を身に着ける。この関係に興味を抱いて織物を始めた。二つはつながっており伝統の継承という意味でも同じ。中途半端にせず精進を重ねたい」と話した。

 師匠の瀬名波恵子さん(64)は崎原さんについて「織物と一緒で箏に関しても深く研究している。演奏につなげていってほしい」と目を細めた。

 琉球箏曲保存会の比嘉淳江会長(75)は「300人超の会員の中で男性は数える程度だったので4人の合格はうれしい。箏曲の魅力をどんどん広めていってほしい」と喜んだ。

 【選考評=上條三枝子選考委員】趣味趣向の変化や価値観の多様化が進み受験生が減少の一途をたどる中、選考会へ挑んで下さった皆さまへまず拍手を送りたい。伝統芸能の登竜門といわれる新人賞にふさわしい、あるいはそれ以上のしっかりした音を奏でていたことを評価したい。

 課題曲の「瀧落菅攪」は琉球箏曲の基本的な奏法が網羅され、右手のはっきりした音色に左手で調子をとりながら余韻を醸し出すのが琉球箏曲の特長だといえる。一音一音丁寧な音作りを心がけてほしい。

 歌物の「すき節」は声楽が曖昧な部分も一部見受けられたものの、曲想を良く捉えてきっちりと歌い上げていたことが印象に残った。新人賞越えした奏者とそうでない方との差が大きかったように思えるが、それぞれの立ち位置でさらなる研さんに励んでいただきたい。

 入賞者は次の通り。

(敬称略、受験番号順)

 大久保碧(19)=西原町▽崎原克友(38)=石垣市▽平良舞(14)=那覇市▽下地洋一郎(42)=宮古島市▽比嘉真央奈(13)=読谷村▽大城歓一(43)=伊江村▽小西睦子(66)=埼玉県▽〓橋玄輝(32)=今帰仁村▽岸本修子(67)=那覇市▽知名胡海(13)=読谷村▽香村ことみ(14)=豊見城市

※(注=〓は高の旧字体)

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