2024年元日に発生した能登半島地震の被災地の復興を願い、能登の人たちが、地元の食材を使った新たな飲食店を福井駅前にオープンします。19日の開店を控え、店にかける能登の人たちの思いを取材しました。
カウンターに立つのは、石川県・能登出身の日向文恵さん。二次避難先の東京から単身で福井にやってきて、アパート暮らしをしながら店を切り盛りしています。福井駅前「ふくまちブロック」の1階にあるフードホール・ミニエに、19日新たにオープンする「能登丼食堂」です。
開店に先駆けて15日、関係者向けの試食会が行われました。「おいしい。豚肉が軟らかい」と好評でした。提供されたのは輪島市にある日向さんの店の人気メニュー、能登牛のステーキとすき焼きがのった「能登牛贅沢重」と「能登豚と季節の野菜のハイカラ丼」です。
能登丼とは、奥能登産のコメをはじめ能登地方でとれた食材をふんだんに使い、輪島塗などの器で提供するご当地丼のことをいいます。
能登丼食堂を運営するのは能登丼事業協同組合で、珠洲市、輪島市、能登町、穴水町にある42店舗で、これまで地元で能登丼を提供していました。しかし、能登半島地震により店が焼失したり倒壊したりするなど甚大な被害を受けて、営業できる店はわずか2店舗になってしまいました。そうした中、ミニエへの出店計画が持ち上がりました。
能登丼事業協同組合・日向文恵 組合理事長(七尾市出身):
「お店が焼けてしまった人もいるので、その人たちは能登丼はやらないという声も聞いた。ここで何とかしないと能登丼事業協同組合が駄目になると思った」
「能登の食材を消費してもらい復興支援につなげたい」と、北陸新幹線の開業効果による賑わいを期待し、福井への出店を決めました。
試食会に来た人:
「ここで能登のことを福井の人にも知ってもらうことが、復興の近道になるのでは」
能登丼事業協同組合・日向文恵 組合理事長(七尾市出身):
「被災した農家から特別に譲ってもらったコメを使っているので、福井の人に味わって欲しい。また、私のつぶれた厨房から、がれきをどかして学生ボランティアに輪島塗の器を救出してもらったので、これを使って輪島塗のPRになれば」
被災した複数の店舗が、今も避難所へ届ける弁当作りに協力していると言います。依然として生活環境が落ち着かない中での福井からの再出発。そこには能登丼の火を絶やさないという強い覚悟がありました。
能登丼事業協同組合・日向文恵 組合理事長(七尾市出身):
「ここで私が頑張れば、次に続いてやってみようという気持ちが(組合員に)起こるかもしれないと思って」
まずは4店舗を中心に運営をはじめ、徐々に関わる店舗を増やしていきたい考えです。能登丼食堂は19日金曜日にオープンします。
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