米国の原爆開発計画「マンハッタン計画」を率いた科学者で「原爆の父」故ロバート・オッペンハイマー博士が米国で被爆者と面会した際、「涙を流して謝った」と立ち会った通訳が証言する映像が見つかったことが20日、広島市のNPO法人への取材で分かった。
NPO法人「ワールド・フレンドシップ・センター」によると、映像は1964年6月、広島の被爆者らとオッペンハイマー氏の非公開の面会で、通訳として立ち会った故タイヒラー曜子さんが2015年に証言した内容。「(面会場所となった)研究所の部屋に入った段階でオッペンハイマー氏は涙ぼうだたる状態。『ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい』と謝るばかり」などと語った。
オッペンハイマー氏は1960年に来日したが、被爆地の広島と長崎は訪れなかった。64年に被爆者らが米国や旧ソ連など8カ国を訪問した「世界平和巡礼」で、広島の被爆者で理論物理学者の故庄野直美さんらが同氏と面会していた。
映像は約50分で、同センター設立50周年の式典時にタイヒラーさんを含む巡礼参加者計3人を撮影し、保管していた。立花志瑞雄理事長は「被爆者らの生きた証しとして、映像や文書を保存していきたい」と語った。
広島大平和センターの川野徳幸センター長は「謝罪した記録があるのは驚きだ。開発責任者だった同氏の謝罪は、被爆者にとって救いになるだろう。ただ当時の彼にとって、誰への、何に対する謝罪だったかを考える必要がある」と述べた。〔共同〕
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