姉妹の父子関係を巡る司法判断

 性同一性障害特例法に基づいて男性から性別変更した40代女性が、自身の凍結精子を使ってパートナーの30代女性との間にもうけた次女を認知することができるかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(尾島明裁判長)は21日、認知を認める判決を言い渡した。

 40代女性は次女の法律上の父となった。男性から女性に性別変更した生物学上の父と、性別変更後に生まれた子の父子関係を認める司法判断は初めて。

 40代女性は2018年冬に男性から性別を変更。性別変更前に自身の凍結精子でパートナーが長女を出産し、性別変更した後の20年にやはり凍結精子で次女が生まれた。

 40代女性は子2人の父だとする認知届を自治体に出した。しかし受理されなかったため、子2人が40代女性に認知するよう求める訴訟を起こした。

 1審・東京家裁判決(22年2月)は、女性とみなされる人を父だとすることは現行法と整合しないとして長女、次女のいずれも認知できないとした。

 これに対し、2審・東京高裁判決(22年8月)は、長女の出生時に40代女性の戸籍が男性だったことから、長女については40代女性が認知できると判断した。

 一方で、次女の出生時には40代女性が既に女性に性別を変更していたため、40代女性を父とすることは認められないとした。子2人に対する父子関係の判断が分かれたため、次女のみが最高裁に上告していた。【巽賢司】

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