岩手山=盛岡市内で2024年6月20日、佐藤岳幸撮影

 盛岡市紺屋町に建設中の高層マンションのチラシに岩手山ではなく岩木山(青森県)が使われていた問題で、岩手県の達増拓也知事は21日、「岩手山は県民にとって極めて大事な存在で、粗末に扱われると強い反発などが出てくる。ビジネスで岩手山に関わろうとするのであれば、かなりの配慮が必要だ」と述べた。定例記者会見で記者の質問に答えた。

 盛岡市出身の達増氏は「昔からあった酒蔵がなくなって、マンションになることを寂しく思っている人が多い」と指摘。さらに、「岩手山じゃない山の写真を掲げて『岩手山がよく見える』とするのは、そういう感情を逆なですることになる。地域の人たちに対して、どう責任を果たしていくのかに思いをいたしてほしい」と苦言を呈した。

 また、盛岡市の内舘茂市長はこの問題について、フェイスブックを更新し、「写真の取り違えは、誠に遺憾。岩手山は私たち市民にとってシンボル的な存在であり、先輩方のたゆまぬ努力によりその眺望が確保されてきた」と投稿。「事業者には一層の慎重さをもって、市民感情に寄り添う配慮をお願いいたしました」とつづった。

 一方、売り主のタカラレーベンは誤掲載の経緯について、「岩手山をCG加工しようとした際、誤って岩木山を加工し、その間違いに気がつかなかった」とウェブサイトに追記。「盛岡市民の皆様をはじめ、岩手山の深い愛着や畏敬(いけい)の念など特別な思いを持つ方々の気持ちをないがしろにしてしてしまう結果となったことを深く反省します」などとした。【佐藤岳幸、釣田祐喜】

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