日米両政府は日本語や日本文化の専門家の交流を増やす協力覚書を交わしたと発表した。米国の学校で日本語を教える指導助手のビザ(査証)取得要件を緩和し、渡米を後押しする。米移住を望む日本人教員への情報提供も始める。米国での日本語教育を強化して知日派を増やし、高度人材の留学拡大などにつなげる。

覚書は10日の日米首脳会談に合わせて交わした。米国の学校が開く日本語講座で教員を補佐する「日本語指導助手」の派遣プログラムを持つ団体を増やし、参加者にビザを出す。有効期間は最長3年にする。

これまで指導助手向けのビザは対象が主に国際交流基金の派遣プログラム参加者に限られ、有効期間も1年だった。条件緩和で日本語や日本文化に関する知識を持つ人材が渡米しやすくする。

外務省によると、2023年度に国際交流基金のプログラムに参加し米国で日本語指導助手になったのは16人だった。

派遣先は政府機関や中等教育機関などを想定する。米国の教育システムを視察して日本の教育機関に外国語の効果的な教え方を提言することも見込む。覚書は2年ごとの協議で見直す。

国際交流基金によると、米国で日本語を教える教員は21年度で4109人で、12年度に比べて4%減った。教育機関は1241校で18年度から14%減となった。日本語講師らの高齢化が進み、若手が増えないことから教育体制の先細りが懸念されている。

日本語教育は知日派を増やす効果がある。先端分野の研究で優れた実績を持つ米国の大学などからの留学生の受け入れを増やすためにも、日本語に親しんでもらう環境づくりは重要になる。そこで両政府は23年10月、日本語教育の拡充で合意した。

日本人教員の米国移住支援は柱の一つとなる。米国の学校で教えるには資格が必要で、現地の大学で教育方法などを学ぶ必要がある。条件は州で異なる。日米は必要な資格や条件を記したマップを秋にも公開し、移住先候補を調べやすくする。

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