参加国間の運営委で議長に選ばれ、記者会見に応じるスイスのマニュエル・サルフリ政府代表(中央)ら=奈良市で2024年6月26日午後4時21分、郡悠介撮影

 「大型車両や重機が必要な工事は10月中旬までに終える必要があることを強調します」「すべての準備は(2025年4月13日の)開幕前までに終えなければなりません」。日本国際博覧会協会の石毛博行事務総長は、18日の博覧会国際事務局(BIE)のオンライン総会で、建設が遅れている海外パビリオンへの「締め切り」を繰り返しアピールした。

 15年のイタリア・ミラノ博では一部のパビリオンの建設が間に合わず、開幕後も工事が行われた。大阪府の吉村洋文知事も定例記者会見で「一部で(開幕時に)内装がまだという国が過去の万博でもある」と紹介していたが、日本は締め切りに厳しいのか?

 25、26の両日、奈良市で開かれた国際参加者会議の会場で、日本の締め切り文化をどう思うか尋ねてみた。

 インドネシアのフィフィ・ユラスワティ政府代表は「(厳しいと)そう思います。締め切りを設けるならば、情報と時間がほしい」と同僚と苦笑しながら答えてくれた。同国のパビリオンは現在の計画では、10月中旬までに重機を用いた工事を終え、25年2月に内装を含めた全ての工事が完了する。協会との個別協議で「締め切りに間に合う」とお墨付きを得たという。

 今は「期間中の運営について包括的な情報がほしい」とフィフィさん。参加国が会期中に地球的課題を話し合う「テーマウイーク」は登録の締め切りが7月に迫っているといい、現地の電気設備がどうなっているかなど技術的な情報を求めている。「協会は時々難しい規制や指示を出すことがあるが、時間の猶予がないと守れなくなってしまう」

 米国務省のパビリオン担当者、カラ・スネスコさんは「どの万博でも締め切りは設けられているが、実際には『ソフト』と『ハード』の2種類がある。開幕までの工事完了はハードな締め切りで間に合わせないといけない」と話した。

 スイスのマニュエル・サルフリ政府代表は「万博は注目されているイベント。協会が締め切りを設定するのは過去の万博を見ても当然のことだと思う」と理解を示した。【高木香奈】

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