児童たちの質問に答える岩崎恭子さん=菊川市の河城小学校で2024年7月1日午前11時10分、山田英之撮影

 1992年のバルセロナ・オリンピック競泳女子200メートル平泳ぎ金メダリスト、岩崎恭子さん(45)=静岡県沼津市出身=が1日、菊川市の市立河城小学校のプールで、水泳やおぼれそうになった時の対処法を教えた。ペットボトルを抱えて水に浮く練習をして「水から命を守って」と呼びかけた。【山田英之】

 岩崎さんは水の事故から命を守る「着衣泳」の普及に取り組んでいる。水難事故では服を着た状態で、あおむけで水に浮いて救助を待つのが基本だ。

 「速く泳げなくてもいい」「水の中で大切なのは浮くこと」「姿勢が大事」「力を抜いて」。岩崎さんは水着姿の子どもたちに声をかけ、浮く姿勢も実演してみせた。もし口に水が流れ込んできてもパニックにならずに落ち着いて水を吐き出し、呼吸を確保するように助言した。

 岩崎さんが100メートルメドレーでバタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、クロールを披露すると、子どもたちから「速すぎる」「泳ぎ方がきれい」と歓声が上がった。

 体育館では「夢の実現に向けて」をテーマに講演。バルセロナ五輪では、普段かぶっている水泳キャップがなかなかかぶれないほど緊張したエピソードを紹介した。周りを見ると当時の世界記録保持者も緊張しているのが伝わってきたといい、「世界記録保持者が緊張するんだから、私が緊張しても当たり前」と思ったという。

 児童から「水泳をやめたいと思ったこと」を質問されて、14歳で金メダルを手にして「五輪後に注目され過ぎて、きつかった」と感じた時期があったことを明かした。周囲の言葉に傷つけられたり、うわさを気にしたりしたこともあった。それでもやめなかったのは「根本的にすごく水泳が好きだったから」。子どもたちには「みんなにも可能性がある。嫌なことがあっても、やってみようという気持ちが大事」とアドバイスした。

 スイミングスクールに通う6年の山本葉奈さん(12)は「おぼれそうになった時、慌てずに浮くことを意識したい」と話していた。

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