2009年施行の水俣病特別措置法に基づく救済を受けられなかった住民らが新潟水俣病の症状を訴え、国と原因企業の昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)に1人当たり880万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、新潟地裁(島村典男裁判長)は18日、同社に賠償を命じた。

同種訴訟は全国4地裁で起こされ、原告全員を水俣病と認めて国などに賠償を命じた大阪地裁、罹患(りかん)を認めた一部原告を含めて全員の賠償請求を退けた熊本地裁に続き、3件目の判決。

新潟訴訟の争点は、原告らを水俣病と認めるかどうかや、国の責任の有無だった。

原告側は、地元民間医師が作成した「共通診断書」を基に、旧昭和電工の工場排水に含まれていたメチル水銀に汚染された阿賀野川の魚を多く食べ、感覚障害など水俣病の典型的症状があると主張。国が排水を規制しなかったことや、特措法に基づく救済申請を約2年で締め切ったことも批判している。

国側は、新潟水俣病公式確認後の1965年6月以降、阿賀野川の魚を多く食べる事態は想定しにくく、症状は水俣病以外の可能性もあると反論。仮に発症したとしても提訴までは時間がたっており、損害賠償請求権が消滅する20年の除斥期間が過ぎたと主張している。

新潟の原告は149人で、18日は先行して結審した47人についての判決。東京地裁でも係争中で、各地の訴訟の原告は計1700人を超える。〔共同〕

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