内閣府は4日、若年層の痴漢被害に関するオンライン調査結果を公表した。内閣府による痴漢に特化した調査は初めて。16〜29歳のうち約10%が痴漢被害を経験したことがあると回答した。被害者のうち約30%がどこにも相談しなかったと答えており、相談体制整備などの課題が浮き彫りになった。

調査は2月、オンラインで実施。被害経験者抽出のための「スクリーニング調査」では全国3万6231人から有効回答を得た。痴漢被害に遭っていたのは10.5%で、女性の13.6%、男性の3.6%だった。

被害経験者のうち2346人が「本調査」にも回答。初めて被害を受けた時の年齢は「16〜19歳」が46.4%で最も多く、「15歳以下」も35.4%に上っていた。

直近で受けた被害について尋ねると、被害場所は「電車内」が62.8%で最多。被害時の対応(複数回答)は、「とっさのことで何もできなかった」と答えたのは42.7%で、「怖くて体が動かなかった」は32.5%だった。周囲の人に助けを求めたのは2.9%に過ぎず、声を上げにくい状況が浮かんだ。

これまで受けた被害では、警察に相談したのは8.0%にとどまった。30.6%がどこにも相談しておらず、理由には「相談するほどのことではないと思ったから」「どこに相談してよいのかわからなかった」などが挙げられた。

自由記述欄には、切実な意見が並んだ。加害者に「何年たっても記憶は薄れないし、ずっとトラウマになっていると知ってほしい」と望む声や、社会に対して「被害を見つけた時に、見て見ぬふりをせず、助ける優しさを一人一人が持って」と求める記述もあった。

内閣府の担当者は「相談先の周知や相談しやすい環境をつくることが大事だ」と話した。〔共同〕

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。