全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)に臨む児童(4月、東京都内の小学校)

文部科学省は8日、小6と中3を対象に実施する全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)について、2027年度から紙の問題冊子をすべて廃止し、パソコンを利用した試験(CBT)に全面移行する方針を明らかにした。CBT化で解答データが収集・分析しやすくなり、学校現場の指導充実につなげたい考えだ。

同日開かれた有識者会議で工程表の案を示した。文科省は9月にも正式決定し、10月ごろに自治体や学校現場向けに説明会を実施する。

学力テストのCBT化は、25年度に中学理科での本格導入が決まっている。工程表によると、26年度から中学英語の「聞く・話す・読む・書く」の4技能全てをCBT化し、27年度から小中の国語と算数・数学にも拡大する。

児童生徒は1人1台配備された学習用端末で解答するため、動画や音声を利用した幅広い出題が可能になる。問題冊子の印刷の費用削減も利点だ。不登校の児童生徒は遠隔で参加できるようになる。

学校のネットワーク環境の改善が課題となる。負担軽減のため、25年度の中学理科、26年度の中学英語は4日間程度に分散してテストを実施する。27年度以降も分散して実施する予定。

これまでは全ての問題の正答数と正答率で結果を出していたが、CBTでは出題する問題の半分で、試験日時や問題の難易度が異なっても客観的にレベルを測定できるIRT(項目反応理論)を採用する。別日程で異なる試験問題に解答した参加者同士の能力を比べることが可能になる。

学力テストは全国の小中学生約200万人が対象。国語と算数・数学は毎年度、理科と中学英語は3年に1回程度実施される。

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