自民党派閥の政治資金規正法違反事件を巡り、同法違反(虚偽記入)罪に問われた安倍派(清和政策研究会)の会計責任者、松本淳一郎被告(76)の公判が9日、東京地裁であった。松本被告は被告人質問で、パーティー収入の一部を収支報告書に載せない運用をやめることについて「かつて派閥幹部と話したことがある」と述べた。

この日は検察側の被告人質問があった。検察側はパーティー券の販売ノルマを超えた分を所属議員側に還流し、派閥の収支報告書に記載しない運用が続いた経緯を尋ねた。

検察側は「不記載をやめた方がいいと幹部に言わなかったのか」と質問。これに対し松本被告は「今の幹部ではないが、仕えた幹部議員に何度か話したことがある」と語った。

相手については自身が会計責任者に就任した2019年以降の幹部と言及したが、氏名は明らかにしなかった。検察側も幹部の氏名について重ねて質問しなかった。

一方、松本被告は6月の公判で、2022年にいったん中断した還流について「ある幹部から再開してほしいと頼まれた」と証言した。検察側は9日の公判で「ある幹部」の名前を尋ねたが、松本被告は「本人もおっしゃらないので差し控える」と述べるにとどめた。

起訴状によると、松本被告は18〜22年の派閥の収支報告書について、約6億7千万円分の収入と支出をそれぞれ記載しなかったとされる。松本被告は所属議員が派閥に納めずプールした分の一部は「認識していなかった」として不記載額を争っている。

次回公判は8月9日で、検察側が論告求刑し結審する見込み。

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