長野県南木曽町で中学生1人が犠牲になった土石流災害から7月9日で10年です。土石流が起きた沢では町の関係者が花を手向け、犠牲者を追悼するとともに、防災への誓いを新たにしました。

南木曽町の中心部を流れる梨子沢。災害後に建立された「平成じゃぬけの碑」の前では、町の職員など約50人が参列し、献花式が行われました。

「じゃぬけ(蛇抜け)」とは地域に伝わる土石流の呼び方。10年前の7月9日も、「じゃぬけ」が町を襲いました。

大量の土砂や流木を巻き込んだ土石流。下流の住宅44棟を巻き込み、当時、中学1年生だった榑沼海斗さんが犠牲になりました。

土石流の原因となったのが、視界が真っ白になるような猛烈な雨です。発生までの1時間の解析雨量は97ミリに達していました。

当時、町長だった宮川正光さんは―。

南木曽町の元町長・宮川正光さん:
「(町長室から)この沢がばーっと抜けていく土砂や水がとんでいくのが見えて、こんな災害は二度と起きてほしくない」

災害を受け、町は新しくハザードマップを作り直すなど、町民の命を守るための備えを進めてきました。

南木曽町・向井裕明町長:
「この地域には『白い雨が降ると抜ける(土石流が発生する)』とか、『蛇抜けの前には、きなくさい臭いがする』といったような言い伝えもある。いつどこでどんな災害が来るかわからないことを肝に銘じながらここで生活していかなければいけない」

多治見砂防国道事務所の職員:
「(土石流は)土や石、大きな岩や木などが水と混ざった状態で一気に流れ落ちてくる」

沢の近くにある小学校でも防災についての研修会が開かれ、多治見砂防国道事務所が作った「防災かるた」で土砂災害の怖さや身を守る対策などを学びました。

児童:
「土石流は速いからすぐに追いつかれてしまうとわかった」
「警報などが出たらすぐに逃げないと自分の命は守れない」

悲劇を繰り返さないための取り組みが続いています。

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