東京大学は12日、検討中の授業料引き上げの可否について、入学者募集要項が発表される11月までに方針を決定すると明らかにした。藤垣裕子副学長は「現在、学内で丁寧にコミュニケーションのプロセスを踏んでいるところだ」と説明した。

国立大の授業料は文部科学省の省令で標準額を年53万5800円とし、最大で20%まで引き上げられると定めている。

東大の藤井輝夫学長は6月、学生との意見交換の場である「総長対話」を開き、現在標準額としている授業料を2割増の64万2960円とする検討案を示した。「物価、光熱費、人件費の増大などに対応しなくてはならない」とし、授業料収入はグローバル化やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に充てる考えだ。

経済的に困難な学生の支援については、授業料全額免除の対象を現在は世帯収入年400万円以下の学部生としているところ、同600万円以下の学部生と大学院生に対象を広げることなども説明した。

学生や教員の一部は「格差の拡大につながる」として値上げに反対している。

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