古墳時代の埴輪(はにわ)や弥生時代の土器を紹介する展示=橿原市の歴史に憩う橿原市博物館で2024年7月11日午後2時41分、皆木成実撮影

 近畿最大級の大型商業施設「イオンモール橿原」(奈良県橿原市曲川(まがりかわ)町)の地下に眠る大規模集落遺跡を紹介する企画展「深掘り 曲川遺跡」が13日、「歴史に憩(いこ)う橿原市博物館」(川西町)で始まる。市内の沖積低地に広がる曲川遺跡は約60ヘクタールに及び、縄文時代晩期から約3000年間にわたって行われた土地利用の歴史を探る。10月27日まで。

 イオンモール橿原の前身は2004年4月に開業した「ダイヤモンドシティ・アルル」。その店舗建設に伴う01~03年発掘調査で縄文時代晩期の大規模集落跡を発見。出土土器の様式は東北地方から瀬戸内に及び、列島各地と交流があったことが分かった。乳幼児が埋葬された土器棺墓81基も見つかった。

2004~05年の調査で曲川遺跡から見つかった弥生時代の方形周溝墓群。後方はイオンモール橿原の前身「ダイヤモンドシティ・アルル」=橿原市曲川町で05年2月、松本博子撮影

 弥生時代に稲作が始まると、曲川遺跡はさらに発展。04~05年に行われた開発に伴う発掘調査では弥生時代中期~後期の方形周溝墓25基を発見した。最大で一辺20メートル前後で地元の有力者の墓とみられる。規模から農業生産力の高い豊かな土地だったことを裏付けた。

 平安時代には荘園として栄えた。京奈和自動車道建設に伴う01年度発掘調査で橿原市雲梯町から荘園を管理する有力農民「田堵(たと)」の屋敷跡を発見。敷地内に木棺も見つかり、先祖の墓を家の守り神とする風習「屋敷墓」の代表例とされている。

 企画展は縄文、弥生、古墳、平安・鎌倉の四つの時代に分けて出土遺物約90点を展示。杉山真由美主査は「大型商業施設が栄える今の曲川町も歴史の一コマ。遺跡を通じて我々の暮らしが過去から未来へつながっていることを学んでほしい」と話している。

 入館は午前9時~午後4時半。一般300円、高校・大学生200円、小中学生100円。月曜休館(祝日の場合は開館し、翌平日休館)。同館(0744・27・9681)。【皆木成実】

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