石川県能登町宇出津(うしつ)で7日、シンガー・ソングライターの奇妙礼太郎さんのチャリティーライブが行われた。元日の能登半島地震を受け、犠牲者らを追悼する音楽配信企画「pray for noto 2024」に向け、新曲「満天星」を書き下ろした奇妙さん。港のすぐ横の会場で、集まった被災者らに優しく歌を届けた。追悼ソング「満天星」に込めた思いとは――。ライブ後に奇妙さんに聞いた。【阿部弘賢】
――能登半島にどんな思い出がありますか。
◆奇妙礼太郎さん 昨年10月に石川県志賀町の野外イベントでライブを行いました。その時が初めての能登でした。会場へ行き、そのまま帰ってくるという感じだったので、何かを見たとは言いがたいんですが、曇天の下、海沿いをぶらぶら歩きながら写真を撮ったりして楽しかったですね。
――地震後初めての能登訪問でした。何を感じましたか。
◆写真で見たりはしていましたが、実際に目にして、車に乗っていても地面が隆起していたりして、ちょっとすごいなと思いました。
――2016年の熊本地震の犠牲者らを追悼しようと音楽活動をしている大分県の谷川義行さん(51)の主宰するイベント「旅する音楽」から追悼ソング制作の依頼がありました。引き受けたのはなぜですか。
◆最初、(追悼の)曲を作ったり、歌ったり、自分が何かするのは難しいのかなと思っていました。でも、自分の曲で(能登半島地震に)興味を持ってくれる人が少しでも増える一助になるんだったら、いくらでもやりたいなと。そういう気持ちで受けました。
――「満天星」という曲名や歌詞にどんな思いを込めましたか。
◆曲を作る時に、まず能登のことを全然知らないな、と思っていろいろ調べたら、すごい星がきれいな所だということが分かったので、テーマはそれにしようと決めました。(能登町柳田に星の観察館)「満天星」というプラネタリウムがあることもその時に知り、タイトルにぴったりだし、場所の名前でもあるので、すっと決まりましたね。
――被災者の前で実際に歌ってみて、どうでしたか。
◆自分は当事者ではないので、(被災者の)気持ちが分かるわけでもないですし、勝手にセンチメンタルになるのも何か失礼な気がするなと思って、ライブ前は緊張しました。でも、実際にライブで歌ってみて、いい時間だったなと感じました。みなさんにも楽しんでもらえていたら嬉しいです。「満天星」の歌詞の受け取り方は、聞く人それぞれの中にあると思います。どこかしら気に入ってもらえる部分があれば、うれしいですね。
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奇妙礼太郎さんが作詞・作曲した「満天星」は、動画投稿サイト「ユーチューブ」内の「旅する音楽」のチャンネル(https://www.youtube.com/watch?v=15BApxHLezM)で無料で聞くことができる。
また「旅する音楽」プロジェクトへ寄付(一口1000円から)すれば、「満天星」の楽曲データがもらえる。寄せられたお金は経費を除き、石川県かほく市を拠点に被災者らへの支援活動を行っている任意団体「能登とととプロジェクト」などに寄付される。
奇妙礼太郎(きみょう・れいたろう)
大阪府出身。奇妙礼太郎トラベルスイング楽団、天才バンドなどを経て2017年にソロメジャーデビュー。現在、47都道府県の弾き語りツアーを実施中。
満天星
夜空の星よ かなたの星よ
見上げればそこに 輝く星よ
お前は なぜ そんなにも
輝いているの 銀河の果てに
あなたの星と わたしの星が
見上げればそこに 見上げればそこに
夜空の星よ この地の星よ
見上げればそこに 輝く君を
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