兵庫県の斎藤元彦知事がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された一連の問題について、鳥取県知事や総務相を務めた片山善博・大正大特任教授に聞いた。
兵庫県は(パワハラ疑惑などの文書を作成した)男性職員の告発を受けて、まずはその内容の真偽を点検すべきだった。客観視できる人に告発内容を吟味してもらい、真実と認定された点について改める必要があった。
それにもかかわらず、名指しで批判された知事自身が本当かどうか確かめずに「うそ八百」などと否定し、告発者の懲戒処分を行ったのは問題で、してはいけないことだった。私は、誰かに何かを指摘されたら告発者を捕まえてしまう、水戸黄門に出てくる悪代官を想像した。
男性の告発内容が全くのうそならば公務員の信用を失墜させるものであり処分もやむを得ないが、真実であるならば、県の告発者への対応は大きな問題になる。男性について、真実が分からない状況の下では、予定通り今年3月末で定年退職をさせるべきだった。
片山安孝副知事が7月末で辞職する意向を明らかにしたことは、知事を支えきれず暴走を阻止できなかったという意思の表れとともに、知事に嫌気がさして見放したということではないか。
男性が命をかけて告発した内容には、震災との向き合い方など兵庫県についての重要な問題が含まれている。県議会は今後、政争の話は棚上げにして、事実としてそのようなことがあったのかどうか、百条委員会で一つ一つ検証し、事実と判明した場合は知事を厳しく追及すべきだ。
混乱した県政を立て直すのは知事が辞職しなければ難しいだろう。知事の信頼回復は難しく、このまま現職にとどまるならば任期満了まで針のむしろのようになる。県政は停滞し、県職員の不安や憤りも収まらないだろう。【高木香奈】
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