18日、「イット!」のカメラの前に姿を現したのは、埼玉県で目撃が相次いでいる国の天然記念物、カモシカです。
住民を悩ます被害の実態を取材しました。

埼玉県北西部にある、小鹿野町の三山地区。
住宅裏の路地を地元猟友会のメンバーと歩いていた時のことでした。

茂みの中にいたのはニホンカモシカ。
慎重に回り込んで、その様子を確認します。

敷地の隅に捨てられた規格外のキュウリを食べていたカモシカは、やがて、ゆっくりと茂みの奥へ。
残ったキュウリには、大きな歯形がついていました。

この地区では今、カモシカが農作物を食い荒らすなどの被害が相次いでいます。

西秩父猟友会・黒沢千里支部長:
警察も出動したり役場も出動したり、もう、ものすごい騒ぎを起こしているんですよ。

7月13日、イチゴ畑が被害に遭った際の映像を見てみると、イチゴの葉があらかた食べられてしまいました。

西秩父猟友会・黒沢千里支部長:
動画の通り、ここで食べてました。これを食べちゃうから茎だけ残っちゃう。もう今年はイチゴにならない。

現れるのは畑に限りません。

なんと、カモシカが家の中に入り込み、住人と鉢合わせ。
この家では、畑のナスや枝豆などの芽が食害に遭いました。

別の家では、鉢植えが荒らされるなどの被害を受けたことから、防犯ブザーや監視カメラを設置。
カモシカ対策に約30万円をかけたといいます。

被害を受け、猟友会や町役場、さらに埼玉県にカモシカ被害を訴えましたが、ニホンカモシカは特別天然記念物に指定されているため、捕獲や駆除は原則禁止です。

それに従い、埼玉県は「国の特別天然記念物であるため殺処分はできない」と回答。
そのうえで、被害の訴えへの対応を町役場と猟友会に求めたのです。

西秩父猟友会・黒沢千里支部長:
天然記念物だから、猟友会としては手が出せない。

被害に遭った住民:
石を投げて(天然記念物だから)当たらないように追っ払うと、もし当たって死んじゃったら、大変な騒ぎになっちゃうよね。

そんなニホンカモシカを巡って今、話題となっているのが、SNSで6万件以上のいいねを集めた「誰が、鹿や。」という文言が書かれたポスター。

実は、ニホンカモシカは名前にこそ「シカ」がつきますが、シカ科ではなくウシ科に属する“牛の仲間”なんです。

このポスターを作ったのは、カモシカを町のシンボル“町獣”に指定している、三重・菰野町。
「人とカモシカの共生」を掲げるこの町の担当者に、付き合い方のヒントを聞きました。

菰野町役場・南川文裕さん:
(Q. カモシカ対策は?)鹿のように柵を跳び越えてジャンプするとか、そういった俊敏性はないので、網とか電気柵とか、1メートルの高さがあれば十分だと思います。角はあるけど人を襲ったりとかまずしない動物ですので、危なくはない。

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