せき止め薬や鎮痛剤などの一般用医薬品(市販薬)を過去1年間に乱用目的で使った経験がある15〜64歳は0.75%で、約65万人と推計されることが20日、厚生労働省研究班の初の全国調査で分かった。年代別人口に対する割合は10代1.46%、50代1.24%の順で多かった。薬の過剰摂取(オーバードーズ)が社会問題となる中、実態を踏まえ、販売制度の見直しと当事者支援を両輪で進める必要がある。
研究代表者で国立精神・神経医療研究センターの嶋根卓也研究室長は「全体像を初めて捉えることができた。10代を中心に広がっていることを強く示唆する結果だ」と話す。厚労省が進める多量購入防止策のほかに、中高生らへの予防教育の内容を変更、充実させることも重要だと指摘する。
調査は薬物乱用の定期的な実態把握が目的で、今回は昨年10〜12月に実施。住民基本台帳から抽出した5千人に調査用紙を郵送し、3026人から有効回答を得た。結果を統計解析し、推計の割合や人数を出した。
初めて市販薬乱用の質問を設け、気分を上げたり変えたりするために用量を超えて使用した経験があるかを聞いた。
年代別割合は、最多の10代(15〜19歳)が1.46%(約8万5千人)で、50代が1.24%(約30万8千人)、30代が0.69%(約10万1千人)と続いた。研究班は50代の乱用経験率も高いとし「今後、特徴を分析する必要がある」としている。
一方、違法薬物の年間使用経験は大麻が約20万人、覚醒剤は約11万人だった。
医薬品販売制度に関する厚労省検討会は今年1月、依存性がある成分を含む市販薬を20歳未満が多量購入することを禁じる制度見直し案をまとめた。同省は医薬品医療機器法を改正する方針。〔共同〕
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