大雨の影響で浸水した山形県戸沢村の住宅を捜索する自衛隊のヘリ(26日午前10時36分)=共同通信社機から

停滞する梅雨前線の影響で記録的雨量となった山形県と秋田県で26日、人的被害が相次いで判明し、死者1人、行方不明者3人となった。山形県新庄市で警察官2人がパトカーごと流され連絡が取れていない。秋田市では増水した雄物川に流されたとみられる男性1人が遺体で見つかり、秋田県は不明者も1人いる。

山形県戸沢村蔵岡地区付近で最上川中流が氾濫。同県では5市町村が計3万世帯超に緊急安全確保を発令した。地元消防によると、蔵岡地区の一部が水没し、住民が孤立している。自衛隊や県がヘリコプターで救助を続けているが、要救助者の全体の人数は把握できていないとしている。

山形県新庄市で流されたとみられるパトカー(26日午前9時33分)=共同

山形県警によると、25日午後11時45分ごろ、新庄市本合海の橋付近で、住民の救助要請に対応していた新庄署の警察官から、乗っているパトカーが流されたと110番があった。現場では半分が水没したパトカーが見つかった。

県警によると、2人は20代男性で巡査部長と巡査長。現場は当時、広範囲で冠水していたという。鈴木邦夫県警本部長は取材に「痛恨の極み。全力を挙げて捜索活動をする」と述べた。

消防によると、現場付近で別の3人を救助し、うち1人に低体温症の疑いがある。また舟形町では土砂崩れにより80代女性が足を挟まれ、救助された。

秋田県警によると、秋田市で行方不明となり、遺体で発見された男性(86)は、25日午後4時ごろから連絡が取れなくなり、同日夜に家族から届け出があった。増水した雄物川の堤防で男性の自転車が見つかり、水門付近にはヘルメットが浮いていた。

同県では25日朝に湯沢市の工事現場で男性1人が行方不明となったことが既に判明している。

気象庁は山形県の6市町村に出していた大雨特別警報を警報に切り替えたが、河川の増水や氾濫、土砂災害、低い土地の浸水に最大級の警戒を呼びかけた。

岸田文雄首相は26日の政府与党政策懇談会で「自衛隊の災害派遣を行うなどしているところだ。引き続き情報収集し、万全の対応を取る」と述べた。警察庁は26日未明、災害警備本部を設置した。〔共同〕

  • 【関連記事】山形県の大雨特別警報、警報に 気象庁「なお警戒を」
「日経 社会ニュース」のX(旧ツイッター)アカウントをチェック

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。