札幌地裁=岸川弘明撮影

 札幌市の公立中学校でいじめを受けて長期間不登校になったのは学校側が適切な対応を怠ったためだとして、高校2年の女子生徒(17)が30日、同市に550万円の損害賠償を求める訴えを札幌地裁に起こした。

 訴状によると、女子生徒は中学1年の時に同級生から「豚まん」などとからかわれ、無料通信アプリ「LINE」のグループアカウントに、自身の顔写真とともに「肉まんならいつでもあげます!」と書かれた動画を投稿された。女子生徒は卒業まで不登校が続き、一部の授業をオンラインで受けるしかなかったという。

 女子生徒側は、本人や父親が教員にいじめを伝えていたのに、学校側が法令に基づく「いじめ対策委員会」を設置しなかったと指摘。情報共有や事実確認が遅れて動画が拡散した結果、不登校が長引き、学習機会などが奪われたと主張している。

 学校側は2020年10月、いじめを重大事態と認定している。

 提訴後に記者会見した代理人の吉川賀恵弁護士は「中学校はいじめ対応の指針を作っていたのに、実際に委員会を設置しないといけないという認識が希薄だった」と強調。市教委の山根直樹教育長は「訴状が届き次第、内容を確認して対応を検討する」とコメントを出した。【伊藤遥】

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