父親を殺害した罪に問われ上告していた元医師の山本直樹被告の裁判で、最高裁判所は山本被告の上告を棄却し懲役13年の二審判決が確定しました。

山本被告は、難病のALS患者への嘱託殺人の罪にも問われ一審で有罪となり、控訴しています。


■遺体火葬後に殺人の罪に問われる 背景に「殺害計画メール」

元医師の山本直樹被告(46)は2011年、母親の淳子被告(63)、医師の大久保愉一被告(45)と共謀し、山本被告の父・靖さん(当時77歳)を殺害した罪に問われていました。

靖さんは精神疾患を患っていたものの、突然死亡するような目立った疾患がなかったにもかかわらず、退院からわずか7時間後に死亡していて、その際の死亡診断書は偽造されたものでした。

靖さんの死に不審な点があったものの、遺体は火葬。

その後になって、山本被告らが殺人の罪に問われたのは、3人の間で交わされた殺害計画とみられるメールが大量に残っていたからでした。

【山本被告から母親に宛てたメールの文面】
「どうやって処分するか。問題は逃げ切れるかどうか」
「父抹殺計画を実行に移したい。一度、下見してもらう必要がある」

【大久保被告が出したメールの文面】
「さっさと死ねとマジで感じる」

■無罪主張も京都地裁は山本被告の殺害への関与を認定

裁判で山本被告は、「大久保被告が独断で殺害した」と無罪を主張していましたが、2023年2月、一審の京都地方裁判所(川上宏裁判長)は、靖さんが退院したとき、体調が良好だったことなどから「殺害されたと強く推認される」と判断。

さらに大久保被告が独断で、10分程度の間に殺害することが可能か疑問があるとして、「被告らが共謀し、手段不詳により殺害した」と山本被告の関与も認定し、懲役13年の判決を言い渡しました。

■山本被告が控訴も大阪高裁が棄却 最高裁も「上告理由に当たらない」と棄却

山本被告は判決を不服として控訴しましたが、大阪高等裁判所(長井秀典裁判長)も2024年3月、「共犯者と綿密な殺害計画を立て、中止せざるを得ない事情が生じたわけではなく、被害者が死亡後、共犯者には喜びを、母親には共犯者に感謝を伝えるメールを送っていることからも『直前で計画の中止を申し出た』という被告人の供述は不自然」として、山本被告の控訴を棄却し一審の判決を支持しました。

山本被告側はさらに上告していましたが、最高裁は7月29日、「上告趣意は、判例違反をいう点を含め、実質は事実誤認の主張であって、上告理由に当たらない」として裁判官全員一致で上告を棄却しました。

これにより、懲役13年の判決が確定しました。

母親の淳子被告も靖さんを殺害した罪で、すでに懲役11年の判決が確定しています。

■山本被告はALS患者の女性への嘱託殺人罪にも問われ一審で有罪に 控訴中

山本被告は大久保被告とともに、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病ALSを患い、SNSで安楽死を望む投稿をしていた女性への嘱託殺人の罪にも問われていて、一審で懲役2年6カ月の判決が言い渡され、控訴しています。

靖さんの殺害は、この事件の捜査の中で明らかになったものでした。

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