能登半島地震で大きな被害が出た石川県輪島市門前町浦上地区の住民が1日、自力での住宅再建が困難で、道路復旧のめども立たないなどとして、同じ地区内での集団移転と、移転先として災害公営住宅の建設を市に要望した。

集団移転を要望する書面を坂口茂市長(左)に提出した輪島市門前町浦上地区の喜田充区長(1日、石川県輪島市)=共同

地震発生から7カ月。自治体への集団移転要望は初めてとみられる。能登地方には他にも集団移転を検討する地区があり、元々生活していた土地を離れる動きが進んでいる。

浦上地区は輪島市の山間部に位置する。元日の地震で周辺の道路が寸断するなどし、一時300人以上が孤立した。喜田充区長によると、ほとんどの住宅が全半壊となり、市外に避難している人も多く、11集落が無人となっている。地区と輪島市街地を結ぶ国道は通行止めが続く。

喜田区長らは1日、坂口茂市長に移転を要望する書面を提出。地区の世帯アンケートで8割弱が災害公営住宅への入居を希望したとして、地区中心部への建設を求めた。区長は取材に「道路・家屋の復旧が困難な集落や、土砂災害リスクが高い集落がある。住民のコミュニティー維持にも集団移転が必要だ」と述べた。

坂口市長は「実現に向けバックアップしたい」と応じた。市は、住民がまとまって暮らせばコンパクトシティー形成の観点からもメリットがあるとし、移転を支援する考え。災害公営住宅は国が建設費を助成する仕組みがあり、国とも協議する。

能登地方では、津波被害が大きかった能登町白丸地区でも集団移転を協議している。山森賢治区長は「津波が来た場所に戻りたいという意見は出ていない。コミュニティーをそのまま残すという考えで動きたい」と話している。

地震後、インフラ復旧の遅れなどから、能登地方の多くの住民が生活拠点を離れている。〔共同〕

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