東京女子医科大。案内板には創立者、吉岡弥生の顔写真も掲示されている=東京都新宿区で6月30日、斎藤文太郎撮影

 「こんな内容は受け入れられない」「うそばかりの報告書だ」。東京女子医科大学(東京都新宿区)のガバナンス(組織統治)の機能不全を厳しく指摘した第三者委員会の報告書に対し、岩本絹子理事長に近い理事らからは反発があったという。

 第三者委が大学側に報告書を提出したのは7月31日。その日の午後4時過ぎ、大学内の会議室で第三者委による報告会が開かれた。

 大学関係者の間には、この会議が紛糾した様子が伝わっている。集まった理事や評議員らに、第三者委が250ページを超える報告書の概要を伝えた。すると「うそばかりの報告書だ」「大学のために尽くしてきたのに、この報告書は何なんだ」と一部の出席者から怒号が飛び交った。

 報告書を非難したのは岩本理事長に付き従う「岩本派」と呼ばれる理事や評議員だったという。岩本理事長を擁護する発言をした出席者もいた。

 一方で、別の理事らからは「理事会の解散」を求める発言もあり、会議は2時間超にわたった。理事らの議論が続く中、岩本理事長は足早に退席したという。大学側は出席者から報告書を回収。外部への情報漏えいを防ぐためとみられている。

 ある大学関係者は第三者委の報告に対する大学内の混乱について、「恥ずかしい気持ちでいっぱいだ」と憤った。【森田采花、遠藤龍、井川加菜美】

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