宮崎県で最大震度6弱を観測した地震から一夜明けた9日、被災地では被害状況の把握に追われた。毎日新聞の集計では宮崎県を中心に14人のけが人が確認され、うち1人は意識不明。東海沖から九州沖にかけて被害が懸念される「南海トラフ地震」の地震臨時情報(巨大地震注意)が出たことを受け、自治体は注意喚起を続けている。
最大震度6弱を観測した、宮崎県日南市では市民が眠れない夜を過ごし、職員が対応に追われた。市によると、市内の被害状況はけが人3人のほか、電柱の倒壊1件▽道路の隆起・亀裂2カ所▽落石2カ所▽崖崩れ2カ所。9日は午前7時から約140人態勢で被害調査にあたっている。
津波浸水想定区域で豆腐料理店を営む湯浅俊一さん(67)は2階建ての住宅兼店舗が激しい揺れに襲われ、落下物で鏡台が割れるなどし、片付けに追われた。10日から店舗の営業を再開予定といい、「臨時情報はでているが生活がある。帰省客や観光客が減らないか心配だ」と顔を曇らせた。
毎日新聞が午前10時現在でまとめたけが人は、宮崎県で重傷1人、軽傷7人▽鹿児島県で軽傷4人▽熊本県で重傷1人、軽傷1人――の計14人。宮崎県日向市で屋外階段を避難中だった50代男性が意識不明で搬送された。このほか、宮崎県では住宅7棟が一部損壊したほか、鹿児島県では住宅1棟が倒壊、2棟が一部損壊した。
総務省消防庁によると、鹿児島県の志布志国家石油備蓄基地で、石油タンク全43基中37基で、少量の原油が漏れているのが確認された。
宮崎県は午前10時から災害対策本部会議を開催。河野俊嗣知事は「巨大地震注意の意味合いについて、的確に県民に伝えることが大事だ。普段よりリスクが高まっているということで、地震への備えの再点検、すぐに避難できるような備えをしてもらう注意喚起を繰り返し行っていくことが必要だ」と述べた。 【塩月由香、下薗和仁、菅野蘭】
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