宮崎県日南市の商店街で落下した店舗の外壁(9日午前)=共同

気象庁が南海トラフ地震に関する臨時情報の「巨大地震注意」を初めて発表したことを受け、被害が想定される九州の自治体や企業は対応を急いだ。

マグニチュード(M)9クラスの南海トラフ地震発生で最大16メートルの津波が想定される宮崎市。市内では9日、青島海水浴場と白浜海水浴場を臨時休業とした。市の担当者は「気象庁の注意情報を受け、安全面で不安があると判断した」と話す。営業再開の時期は未定で「情報収集しながら議論している」という。大分市も田ノ浦海水浴場を当面の間閉鎖する。

宮崎市は9日午前、ホームページやX(旧ツイッター)で「大規模地震に備えてください」と市民に発信。今後1週間程度は注意が必要として、家具の固定や避難場所の確認といった対応を促した。

地震で灯籠が倒れるなどの被害を受けた宮崎県日南市の鵜戸神宮(9日午前)=共同

宮崎県の河野俊嗣知事は同日午前の災害対策本部会議で「普段よりはリスクが高まっており、日頃の備えの再点検など注意喚起を繰り返し行うことが必要だ」と強調。鹿児島県の塩田康一知事は県ホームページで▽3日程度の水・食料の備蓄▽避難場所・経路の確認▽家族の安否確認手段の取り決め――といった対応を「しっかり行っていただきたい」と呼びかけた。

福岡県では北九州市、行橋市、豊前市、苅田町、吉富町、築上町の6市町が対策推進地域とされた。県は地震発生直後に災害警戒準備室を設置。該当する市町にある医療施設や予定されているイベントなどの主催者に対して地震発生に向けた備えを再確認するよう呼びかけている。県の防災ページや公式ラインで情報を発信するという。

9日に臨時で開催された災害対策本部会議で服部誠太郎県知事は「県民には日常生活は維持しながら備えを再確認するよう、発信していく」と話した。

九州電力と子会社の九州電力送配電は8日夜、本店に「南海トラフ地震対策総本部」を設置。宮崎と大分、鹿児島の3県にある各支店・支社には「南海トラフ地震対策本部」を置いた。巨大地震発生に備え、現場での勤務者の所在や関係各所との連絡体制の確認を進める。

宮崎銀行と宮崎太陽銀行は9日朝から全店で通常通り営業を開始した。両行とも取引先の被害状況の確認にあたっている。宮崎太陽銀の担当者は「一部支店で蛍光灯が割れたが、営業できないほどの被害はなかった。海岸に近い店舗を中心に、大きな地震が来たら営業時間内でも避難させるなど臨機応変に対応する」と話す。

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