他人の電子マネーの決済画面を見せて商品をだまし取ったとして、会社員の男が逮捕されました。キャッシュレス決済という身近な決済手段を、犯罪組織が悪用したとみられていますが、その手口や対策について専門家に聞きました。
埼玉県の会社員・林拓摩容疑者(36)は14日、名古屋市の家電量販店で他人の電子マネーの決済画面を提示してカメラ1台をだまし取った詐欺の疑いで、16日朝に送検されました。
捜査関係者によりますと、林容疑者がレジで店員に提示したのは、バーコード決済の画面を撮影した写真、いわゆる「スクリーンショット」したものでした。
決済アプリを起動した際、通常はバーコードが使用できる時間には制限がありますが、林容疑者はスクリーンショットされた画面を指示役から受け取り、それを支払い時に見せる手口で、1000万円以上の商品をだまし取ったとみられています。
どの決済アプリが悪用されたとみられるか明らかになってはいませんが、キャッシュレス決済に詳しい専門家も、「初めて聞いた」としながら、こう指摘します。
井上トシユキさん:
「もともとスクリーンショットは撮れないよと言われていたので、これは非常に盲点だと思います。スクショ画面のバーコードやQRコードが、誰の端末で何時何分何秒に生成されたものか追っかけるのは、ひょっとしたら不可能なのかもしれないです。特殊詐欺で集めたお金を、なんとかペイの決済の原資として使うと。大掛かりな詐欺と資金洗浄という現実が、実は背後にある可能性があるというのが一番怖いところではありますね」
今回のような犯行を防ぐため井上さんは、決済アプリの会社には「画面表示の制限時間の表示を大きくする」「スクリーンショットができないようにする」といった対策をあげています。実際に『ペイペイ』の決済画面では、制限時間の表示がされていますが、とても小さい表示でした。
また店側には「決済画面のカウント時間をチェックする」といった対策が必要ではないかと指摘しています。
警察は、林容疑者に指示を出したとみられる犯罪組織の解明を進める方針です。
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