東京電力は8月22日、福島第一原子力発電所2号機での燃料デブリの試験的取り出しに着手する予定だったが、操作手順を間違えて中断した。
燃料デブリ取り出しロボットを押し込むための準備をしていたところ、押し込むための5本の棒の順番が間違っていることに現場の作業員が気付いたという。
東京電力は作業再開について「原因を調査してから」としていて、翌8月23日の再開は断念している。
東京電力は22日午後5時に会見を開いて状況を説明した。主な内容は以下のとおり。
Q 明日(8月23日)以降の予定は?
A 現段階では確定的なことは言えない。今後の対応については改めてお知らせする。
Q 明日の試験的取り出し着手はあるか?
A 明日はない。
Q 本来置いてあるべきパイプがそこにはなくて、別のパイプが置かれていたということか?
A 事前準備の中で、引き込む順番が初めから違っていた。「1⇒2⇒3⇒4⇒5」のところが、「2⇒3⇒4⇒1⇒5」という順番になっていた。
Q 今日の作業を経て、今後の変更などは?
A 作業時間を変えることは基本的にはない。作業工程の考慮はあるかもしれない。
Q それぞれの押し込みパイプには数字が書かれていないのか?
A 5cm×5cm程度で、順番がわかるように番号を記載していた。順番通りに伝えていたはずだが、上手く伝わっていなかったのかもしれない。
Q なぜ気づけなかったのか?
A 確認中。
Q 間違いを気づいてもすぐ順番を入れ替えられないのか?
A その通り。抜き取らないと順番を入れ替えられない。
Q 気づいた段階で中止せざるを得なかったということか?
A その通り。
Q 原因が分かるまでは試験的取り出しに着手はしないのか?
A 時間を要する可能性はある。なるべくかけないようにしたい。
Q 押し込みパイプの長さと重さは?
A 5本とも長さは1.5m、重さは一本あたり95kg。
Q 押し込みパイプの構造はどのようなものか?
A 5本連結し、ボルトで締めている状態。
Q 作業の訓練はしていたのか?
A していた。
Q 作業員の被ばく量は?
A 作業計画上は一人あたり2.5ミリシーベルト。今日の作業員の被ばく実績は、総被ばく(全員)量としては7.872ミリシーベルト。個人の最大被ばく量は0.77ミリシーベルト。
Q 被ばく量の管理上、今後の作業について作業員の不足は生じないか?
A 確認中。
Q 初歩的なミス。なぜそうなったのか?
A 作業点検を行ってきた中でも、初歩的な状況になってしまったのは事実。原因を探りながら対策を打っていきたい。同じようなことが絶対に発生しないように、ここで全てを洗い出したいと考えている。
Q 2051年の廃炉は確実に実施できるか?
A 試験的取り出しの当初計画の2021年から3年延期というところで(廃炉完了の実現性についての)指摘はあった。
安全最優先、採取できるのが確認できるまでやらないと決めていたので、ここで立ち止まることは必要だった。今回も作業員の気づきにより最初に立ち止まれたというのは大きい。
みなさんは工程が遅れているという不安を抱くかもしれないが、この中断が2051年の廃炉の完了というところに影響があるとは考えていない。
2011年に事故を起こした第一原発の1号機から3号機までには、核燃料が溶け落ちて金属などとまじりあった燃料デブリが合わせて約880トンあると推定されている。
燃料デブリは極めて高い放射線量で人が直接近づけないため、その扱いは廃炉作業の最難関と言われ、これまで試験的取り出しは3回延期されていた。
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