2012年12月、中央自動車道の笹子トンネル天井板崩落事故を受け、恵那山トンネルを緊急点検する作業員(長野県阿智村)=共同

国土交通省は26日、老朽化が進む道路施設の点検結果を公表した。自治体が管理し、2014〜18年度の点検で5年以内の修繕、撤去が必要と判定された道路橋約6万カ所のうち、17%の約1万カ所は期限となる23年度末時点で対策が未着手だった。

12年に山梨県の中央自動車道笹子トンネルで天井板崩落事故が起き、道路施設の点検は定着したが、人手不足や財政難で修繕が追い付いていない。国交省は財政支援などで早期対策を促す。

道路橋は車両を通すために川や谷などに架けられており、鉄道用などと区別される。修繕、撤去が必要な6万482カ所のうち、66%に当たる3万9688カ所は対策済み。17%は作業中で、残る17%、1万353カ所は手つかずだった。

市区町村管理の4万668カ所に限ると、未着手が22%と遅れが目立った。

自治体管理のトンネルは3131カ所が修繕、撤去が必要と判定され、対策済み82%、作業中13%で、未着手は5%、167カ所。このうち151カ所は市区町村の管理分だった。

自治体別の状況は来月にも公表する。国交省と高速道路会社が管理する道路橋とトンネルは、いずれも未着手がゼロだった。

笹子トンネル事故を受け、道路施設は5年に1度の点検が義務化された。対象は道路橋約72万カ所、トンネル約1万1千カ所、歩道橋など付属物約4万1千カ所に及ぶ。

各管理者は5年かけて全施設を点検するルールで、14〜18年度が1巡目、19〜23年度が2巡目。点検した施設の割合は100%に近い。24年度からは3巡目に入っている。

道路などの社会インフラは高度経済成長期に集中的に整備され、これから老朽化が急速に進む。国交省によると、建設から50年以上が経過する道路橋の割合は、18年度末の27%から23年度末には39%まで伸びた。33年度末には63%に達する見込みだ。〔共同〕

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