台風10号への備えを静岡県内の官民も急いでいる。県は警戒本部を設けて鈴木康友知事を中心に幹部が情報を共有した。自動車関連など製造業で生産ラインを一部休む動きもある。鈴木知事は県民に増水した河川など危険な場所に近づかないよう求め、「明るいうちの備えをお願いしたい」と呼び掛けた。
29日午後5時に県庁内で最初の災害警戒本部本部員会議が開かれた。静岡地方気象台の担当者が台風の動きの見通しを説明し、県内の被害や交通の状況についても情報共有した。気象台の担当者は静岡には9月1日から2日ごろに最接近する見込みで、それ以前に線状降水帯が発生して危険度が急に高まる可能性もあると述べた。
県は災害救助法第2条第2項の「おそれ適用」を初適用した。災害発生のおそれがあれば自治体がすぐに避難所を設け、早めの避難を要請できるようにする。県の本部体制は約960人で情報収集や事前準備にあたる。
JR東海は30日、東海道新幹線の三島―名古屋間の運行を始発から終日取りやめる。東海道本線は富士―掛川間を終日運休し、掛川―豊橋間は夕方ごろまで運転を見合わせる方針。静岡空港を発着するフジドリームエアラインズ(FDA、静岡市)も九州方面や出雲方面で欠航が出ている。
県内の製造業ではトヨタ自動車が台風に備えて国内工場の稼働を停止したことなどに伴って車部品サプライヤーに影響が出ている。トヨタ系排ガス触媒大手のキャタラー(掛川市)は本社工場の生産ラインを30日から一部停止する。期間は「天候と顧客の稼働状況をみて判断する」としている。
内装材大手の共和レザーも30日に一部稼働を止める。ソミックグループで足回り部品「ボールジョイント」を手掛けるソミック石川(浜松市)もトヨタの工場停止を受けて29、30日に関連ラインを止め関係する従業員を休業とする。
ヤマハ発動機は熊本県で29〜30日に小型の船外機や漁船の製造子会社2社を臨時休業とする。静岡県内の工場は稼働している。県内に工場が集中するスズキも「現時点で稼働停止の予定はない」とする。浜松ホトニクスも稼働を続けるが、浜松駅前の本社事務所では公共交通利用者に在宅勤務を許し早期帰宅させた。
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