メタノールを飲ませて妻を殺害したとして殺人罪に問われた、第一三共元社員の吉田佳右被告(42)の裁判員裁判の初公判が2日、東京地裁(坂田威一郎裁判長)であった。吉田被告は罪状認否で「全て間違っています」として、無罪を主張。弁護側は「妻が自らメタノールを摂取した可能性がある」と述べた。

検察側は冒頭陳述で、吉田被告が業務上メタノールを取り扱う機会があったと指摘。夫婦関係が悪化しており、妻に嘔吐(おうと)などのメタノール中毒とみられる症状があったにもかかわらず、翌日まで救急車を呼ばなかったと述べた。

弁護側は妻の症状は二日酔いだと考え、新型コロナウイルス禍で救急車を呼ぶのをためらったと説明。同期入社だった妻が被告のキャリアに不満を抱き、自殺に至った可能性があるなどと反論した。

起訴状によると、吉田被告は2022年1月14〜15日ごろ、妻の容子さん(当時40)にメタノールを飲ませ、16日に急性中毒で死亡させたとされる。

メタノールは無色透明の液体でほぼ無臭。塗料や接着剤の原料のほか、アルコールランプの燃料にも使われる。

第一三共によると、吉田被告は研究員として薬品開発に携わっていた。22年10月の起訴後に被告との雇用契約を終了したとしている。

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