2024年の夏山期間中に長野県内で遭難した人は125人で過去10年で最も多くなりました。熱中症や体力不足による「疲労遭難」が多く、警察は「体力に見合った登山」を呼びかけています。

■“疲労遭難”増加 熱中症、体力不足

隊員(県警提供動画より):
「救助隊です。左の肩以外どう?」

女性:
「こっちも痛いって」

8月12日、中央アルプス・空木岳に続く池山尾根での救助の様子です。3人パーティーで下山中の愛知県の50代男性がバランスを崩し、約50メートル滑落しました。

隊員:
「ちょうど、あの方いる場所?」

女性:
「そうです」

男性は肩の骨を折る大けがでした。

■“疲労遭難”増加 熱中症、体力不足

県警によりますと、2024年7月と8月の2カ月間に県内で発生した山岳遭難は116件。遭難した人は125人で過去10年で最多となりました。好天が続き登山者が増えたことが要因とみられます。

特に目立ったのがー

隊員:
「大丈夫?けがない?けがは」

遭難男性:
「大丈夫です」

隊員:
「体調どんな感じ?」

遭難男性:
「疲労で体が震えてるのと」

隊員:
「体震えてる?寒いとか暑いとかある?」

遭難男性:
「ちょっと寒いです」

8月1日、八ヶ岳連峰の権現岳。12人パーティーで縦走中の埼玉県の大学生が動けなくなり、救助を要請しました。原因は熱中症でした。

隊員:
「ちょっと初歩的なとこだよね、水ないとかさ、こういう熱中症とか。こうなる前にどうにかしなきゃいけないからね」

こうした熱中症や体力不足による「疲労遭難」は27件でここ5年で最多に。

■「道迷い」「技能不足」で遭難も多く

「疲労遭難」のほか、「道迷い」や「技能不足」などで無事に救助された人は56人にのぼり、2023年より24人増えました。県警は「体力に見合った登山」を呼びかけています。

県警山岳遭難救助隊・岸本俊朗隊長:
「登山は観光の延長ではなくて、スポーツの側面もあるということで、しっかりと体調を整えて、トレーニングを積んで、ご自身の体力に見合った山を選んでいただきたい」

また、遭難者125人のうち、107人が50歳以上で、こちらも過去5年で最多となりました。

山岳遭難救助隊・岸本俊朗隊長:
「加齢に伴い、身体的な能力は段々落ちていきますので、どうしても体力不足、バランス感覚がなくなって転倒する、滑落する。そういったリスクが、こういった年齢層の方の遭難の増加に結び付いているのかな」

■紅葉シーズン 県警が注意呼びかけ

長野県警公式チャンネル「命の道しるべ」より:
「♪あなたが登りたい山は 果たして登れる山ですか?」「登山計画書は安全登山のお守り 今は紙でも電子でも 命の道しるべ」

こちらは先月、県警が公式YouTubeチャンネルで公開した遭難防止を呼び掛けるオリジナルソング。北アルプスの涸沢でギターの弾き語りをするのは山岳安全対策課の中山聖次長です。実力にあったルート選びや、ネットでも可能な登山計画書の提出を歌で呼びかけています。

これから紅葉シーズンを迎える信州の山岳。

県警もさまざまな手段で注意を呼びかけています。

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