文部科学省=東京都千代田区で2017年2月21日午前9時6分、北山夏帆撮影

 障害の可能性があるなどの理由で、通園・通学先で個別の支援が必要だと判断された通常学級で学ぶ幼児・児童生徒のうち、個別教育支援計画が作成されているのは約8割だったことが、文部科学省が6日に公表した調査結果で明らかになった。地域によって差があり、4割程度にとどまる自治体もあった。文科省は同日、計画の作成と活用を進めるよう全国に通知した。

 個別教育支援計画は、障害がある児童生徒らのニーズを把握し、長期的に的確な支援を行うことを目的に幼稚園や学校が作成する。発達障害などへの認知が広がる中、計画がないと適切な教育を受けられない恐れがあり、学習指導要領は作成を努力義務としている。

 調査は能登半島地震で被災した石川県を除く全国の国公私立の幼稚園から高校までを対象とし、2023年5月時点での計画作成状況などを聞き取った。

 特別支援学級や、通常学級に在籍しながら一部の授業を別室で受ける「通級」の児童生徒らについては作成率が99%を超えた。これに対し、通常学級に在籍し通級を利用しない場合の作成率は82・6%だった。

 公立の幼稚園・学校で通級を利用しない通常学級の児童生徒らの作成率を都道府県・政令市別にみると、割合の高い順に岡山県、広島県、大阪市と続き、15県市は9割を超えた。一方、山梨県が39・7%と最も低く、北海道、新潟県、青森県も5割を切った。

 文科省の担当者は「支援が必要だと感じても対応方法が分からないケースもあるのではないか」と推測。背景には担任の多忙さもあるとみられ、医療や福祉関係者らと連携して計画を作る必要があると指摘した。

 文科省によると、22年度に全国の国公私立の小中学校・高校で通級を利用した児童生徒は19万8343人で、前年度を1万4464人上回り、過去最多だった。【斎藤文太郎】

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