自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、志帥会(二階派)の政治資金収支報告書の収支欄に計約3億8000万円を記載しなかったとして、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた元会計責任者の永井等被告(70)に対し、東京地裁は10日、禁錮2年、執行猶予5年(求刑・禁錮2年)の有罪判決を言い渡した。一連の裏金事件で初の判決で、向井香津子裁判長は「虚偽記載額は大規模で悪質だ」と述べた。
二階派では各国会議員にパーティー券販売のノルマが定められ、ノルマ超過分は議員の政治団体にキックバック(還流)させていた。こうしたやりとりは派閥の収支報告書に記載されていた。
一方、判決によると、永井被告は、各議員が派閥を通さずにノルマ超過分を事務所でプールする手法を容認。派閥としてパーティー券をどれだけ売り上げたかを把握できていなかった。永井被告は実際より少ない金額を収支報告書に記載するようになり、二階派では永井被告が会計責任者に就任した当初から長年にわたって虚偽の会計処理が続いていた。
判決は、二階派の資金の流れが国民の目に届かず、政治不信につながったとし「会計責任者としての重責を適正に全うしようとした形跡がまったくない。二階派の都合や利害のみを考えていた」と批判した。
判決によると、永井被告は2018~22年分の二階派の収支報告書の収入と支出を少なく記載した。
事件を巡っては、二階派や清和政策研究会(安倍派)、宏池会(旧岸田派)の会計責任者や、池田佳隆衆院議員、大野泰正参院議員、谷川弥一衆院議員(当時)ら計11人が立件された。安倍派会計責任者、松本淳一郎被告(76)の判決は30日に言い渡される予定。【飯田憲】
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