「紀州のドン・ファン」と呼ばれた野崎幸助さんが急死した事件で、殺人などの罪に問われた元妻の須藤早貴被告の初公判が開かれた和歌山地裁の法廷=和歌山市で2024年9月12日午前10時35分(代表撮影)

 「完全犯罪」「覚醒剤 過剰摂取」「殺人罪 時効」――。初公判で検察側は、須藤早貴被告がタブレット端末などで検索したとされる多数のキーワードを明らかにした。野崎幸助さんとの結婚直後から死亡後の履歴を挙げ、過去の殺人事件や遺産の受け取り方を調べた形跡も残されていた。

 被告は袖のない黒いワンピース姿で、真っすぐ前を見て出廷した。マスクを着用し、弁護人と言葉を交わした後に傍聴席を一目見て着席。裁判長から起訴内容について聞かれると、「私は殺していません」と小さな声で関与を否定した。

 検察側によると、被告は札幌市の高校と美容専門学校を卒業後に上京。野崎さんと2017年12月に知人の紹介で知り合った。翌年2月8日に結婚し、野崎さんから月100万円を受け取り、東京と和歌山を行き来する生活を続けていた。

 結婚後の2月28日、被告は「完全犯罪」とウェブ検索したのを皮切りに、3~4月には「老人 死亡」「覚醒剤 過剰摂取」「殺す」と検索。猛毒がある植物「トリカブト」を使った過去の保険金殺人事件のほか、「妻に全財産を残したい場合の遺言書の文例」とするウェブサイトを閲覧していた。

 被告は覚醒剤を入手すると、密売サイトの関係者との連絡手段として使っていた携帯電話を解約。5月に野崎さんが死亡した3日後には「遺産相続 どれくらいかかる」と検索し、6月に入ると「不起訴」「昔の携帯 通話履歴 警察」「薬物 入手ルート」などと調べていた。

 約1年後には「殺人罪 時効」「殺人 自白なし」などの履歴もあった。中でも「完全犯罪」は繰り返し検索されていた。

 一方、検察側は野崎さんの死後、被告が野崎さんが経営していた会社などから得た計約6800万円のうち、計約5500万円を使っていたことも明らかにした。【駒木智一、大塚愛恵】

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