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 親が高齢となり、子どもが介護を担うことは誰しも想定されるが、親との関係が密接になりやすい一人っ子はその役割を一手に引き受ける可能性が高まる。

 大阪経済大の苫米地なつ帆准教授(家族社会学)は国立社会保障・人口問題研究所の「全国家庭動向調査」のデータ(2003~18年の4回)を独自に分析。18歳以上の子どもが親と同居している割合は性別や出生順位にかかわらず年々減少傾向だった。

親との関係、強くなる傾向

大阪経済大の苫米地なつ帆准教授=大阪経済大提供

 ただ、きょうだいの有無で見ると、一人っ子男性の同居割合は41・1%(18年)で、きょうだいがいる第1子男性の約1・5倍、第2子男性の約1・4倍に上った。一人っ子女性は38%(同)で、きょうだいがいる第1子女性の2倍、第2子女性の約1・4倍だった。18年以外の3回の調査も同様で、一人っ子は進学、就職を経ても親と同居する傾向がみられた。

 また、家計への支援やプレゼントの贈答など親子の経済的援助関係を分析すると、一人っ子はきょうだいがいる人に比べて、親子が相互に援助し合う傾向があった。

 このように一人っ子は親との関係が強くなりやすい。苫米地准教授は「親との関係が密で、頼れる家族が親以外にいない一人っ子は、介護においても負担を一人で抱える可能性が高い」と指摘する。「介護サービスはあっても、介護は家族で担うものだとの意識を持っている人は少なくなく、一人っ子は『介護担当』になりやすい構図がある。家族以外の外部に頼れる仕組みをより一層整えていかなければならない」と訴える。【野原寛史】

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