2020年3月に運用が開始された羽田空港の新飛行ルートを巡り、東京都渋谷区や川崎市の住民ら29人が国に対し、運用の取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は20日、原告全員の訴えを却下した。運用について、訴訟で争える行政処分には該当しないと判断した。

新ルートを巡っては、国土交通省東京航空局長が19年12月、川崎市の石油コンビナート上空を避ける旧ルートの飛行制限を通知で廃止。翌20年、国交相は新たにコンビナートや東京都心上空を通過するルートを従来の飛行経路に加えた。

岡田幸人裁判長は、ルート変更に関する通知などは行政組織の内部行為に過ぎないと指摘。国によるルート設定は「国民の権利義務に直接影響を及ぼすものとはいえない」と判断した。また、訴訟で争えると仮定しても、原告が主張する騒音被害や墜落の危険性は不明確だとして、原告適格も認められないとした。

東京都渋谷区に住む原告の須永知男さん(77)は判決後に記者会見し「コンビナート上空の飛行は火災の危険性が大きい。残念だが、二審でも争いたい」と控訴する意向を示した。〔共同〕

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