58人が死亡し、5人が行方不明となった御嶽山(長野・岐阜県境、3067メートル)の噴火から27日で10年になる。当時、関東管区機動隊長野中隊長として捜索・救助活動に当たった長野県警広報相談課の浅岡真管理官(52)が20日、取材に応じ、「今も鮮明に記憶に残っている。もう10年がたつのかと思う」と語った。【鈴木英世】
過酷な環境 訓練、知識が必要
浅岡管理官は御嶽山の噴火災害で、県警の現場責任者として捜索活動の指揮を執った。捜索には自衛隊、消防とともに当たり、県警からは警視庁、岐阜県警からの応援も含め2014年9月27日から捜索中断となるまでの20日間、延べ2200人が従事した。
噴火直後から山頂付近を中心に捜索に当たったが、降灰などで視界も遮られ、乾いた火山灰で足を滑らせることもあった。雨が降ると青い雨具は火山灰がついて灰色になるほど。山小屋は噴石で屋根や壁が突き破られており、過酷な環境だった。
現場まで3時間かけて徒歩で行く必要もあり、捜索は困難を極めたが「行方不明者を発見し、一緒に下山して家族の元に連れて帰る」という決意で探し続けたという。それだけに「捜索については全力を尽くしたので悔いはないが、5人を残して捜索活動を終了したことはご家族に申し訳ない気持ち」と振り返る。
捜索活動を通じて必要となり、ガスマスクやガス検知器、金属探知機などが導入された。浅岡管理官は「警察はどんな現場であっても万全の対応が迅速にできなくてはならない。そのために日々の訓練、知識が必要。あらゆる現場を想定した事前準備は怠らないようにしなくては」と気を引き締めた。
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