河原田川の氾濫で冠水した石川県輪島市の市街地=輪島市で2024年9月21日午後2時26分、本社ヘリから加古信志撮影

 21日午前、石川県で「線状降水帯」が発生し、気象庁は10時50分、同県輪島市、珠洲(すず)市、能登町に大雨特別警報を発表した。いずれも元日の能登半島地震で大きな被害を受けた地域。気象庁は22日にかけて大雨が続く可能性があるとして、身の安全を確保するよう最大級の警戒を求めている。県によると、午後4時現在、珠洲市で1人が死亡したほか、輪島、珠洲、能登の2市1町でそれぞれ1人が行方不明となり、能登町で2人が重傷を負ったという。

 県によると、2市1町で16河川が氾濫した。県や奥能登広域圏事務組合消防本部などによると、輪島市内の複数の地域で土砂崩れが発生し、住宅が巻き込まれたとの情報がある。同市町野町では「人が土砂に埋もれた」との通報があり、消防が捜索している。

 輪島市中心部の広範囲で床上・床下浸水が発生、被災者向け仮設住宅も床上浸水した。仮設住宅では県警輪島署員が救助活動にあたり、住民にけがはなかった。輪島市、珠洲市、能登町でそれぞれ「人が川に流された」との通報があるほか、「住宅の2階に取り残された」などの救助要請が相次ぎ、消防などが対応に当たっている。

 北陸電力によると、午後3時半現在、石川県で約6400戸、富山県で約230戸が停電している。

 県は午前11時から災害対策本部員会議を開催。馳浩知事は、3市町長から人命救助のため自衛隊の出動要請があり、県が派遣を要請したと明らかにした。

 気象庁によると、降り始めの20日から21日午後2時までの降水量は、輪島市輪島で340・5ミリ、珠洲市珠洲で249ミリ。いずれも24時間降水量で観測史上1位の記録を更新した。【深尾昭寛、高木香奈、新宮達】

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