東京23区の民間火葬場の料金が、この数年間に値上げが繰り返されていることがわかりました。
23区では火葬場9カ所のうち7カ所が民営で、そのうち6カ所を東京博善が運営しています。
東京博善は、広済堂ホールディングスの完全子会社となって以降、2020年は5万9000円だった火葬料を2021年1月に7万5000円、2024年6月に9万円に相次いで値上げしました。
港区や品川区など5区(目黒・大田・世田谷)が運営する臨海斎場は4万4000円、都営の瑞江葬儀所は5万9600円、ちなみに、神奈川・横浜市は1万2000円、千葉市は6000円となっていて、東京博善の9万円は千葉市に比べ15倍にあたる金額です。
これについて、東京博善はFNNの取材に対し、「燃料費、人件費、固定資産税、火葬炉関連設備にかかる修繕積立費用などを賄っていることや、立地や建物設備等の優劣などで、公営および他県の火葬場より金額が高くなる要因がある」と説明したうえで、「公営の臨海斎場でも対象5区以外の方は8万8000円、公営の埼玉・川口市のめぐりの森火葬場は、市外の方は10万円の火葬料になっている」と指摘。
東京博善でも、「区民葬の場合は、公営の「瑞江葬儀所」と同じ金額の5万9600円で火葬を行っている」としています。
これに対し、23区の区長からなる特別区長会は、「火葬場の経営は営利目的のためにゆがめられてはいけない」として、8月末に、国に収支の透明性を義務づけるための法整備を緊急要望しました。
また、都が運営する江戸川区にある瑞江葬儀所は、老朽化に伴う建て替え工事が進められていて、建設中の新しい施設が完成すれば、年間およそ7500件の火葬件数が約1万件まで増える予定です。
また、港区など5区で運営する臨海斎場でも、新たに10基の火葬炉を増築する計画で、2030年に運用を開始する予定です。
港区の資料によりますと、2022年は9841人の火葬を執り行いましたが、臨海斎場5区の人口データから、2060年ごろは年間1万4444人分の火葬件数まで増えると予測されていて、1日あたり約56件の火葬を行う必要があるということです。
今後ますます需要が高まる都内での火葬事業。営利目的にならないような法律や枠組み作りが求められてます。
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