自社で開発・販売する複数のソフトウエアを「抱き合わせ販売」した疑いが強まったとして、公正取引委員会は25日、仮想化ソフトウエア大手「ヴイエムウェア」(東京都)を独占禁止法違反容疑で立ち入り検査した。関係者への取材で判明した。同日、米国本社の「ブロードコム・インコーポレーテッド」などへの調査も開始。報告命令などで説明を求めるとみられる。
関係者によると、ヴイエムウェアは1~3月、取引先企業に対し、自社製ソフトのライセンス条件を一方的に変更。すでに提供しているサーバーの仮想化ソフトに加えて、不要なソフトもパッケージで購入するよう強要した疑いがある。公取委は、独禁法が不公正な取引方法として禁じる「抱き合わせ販売」や「拘束条件付き取引」、「優越的地位の乱用」に当たる疑いがあるとみている模様だ。
仮想化ソフトは、一つのサーバーを複数のサーバーとして運用したり、複数のサーバーを運用上統合したりすることでコスト削減や効率化につなげる機能があり、一度導入したソフトを他社製品に移行するには稼働中のシステムを止めるなど手間がかかる。このためソフト会社側による顧客の「ロックイン(囲い込み)」が発生しやすく、ユーザー側は不利益を受け入れざるを得なくなるといった構造があるとされる。
ブロードコムは2023年11月にヴイエムウェアの当時の米国本社を買収し、同グループは仮想化ソフト分野で国内と海外のいずれもシェア約8割を占める。取引先にはシステム大手も多く、「抱き合わせ販売」によってサーバー管理費などに影響が出た可能性もあるという。【渡辺暢】
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