山口県下関市の前田晋太郎市長が市議会で、広島・長崎の被爆地などを周遊することについて「お悔やみトリップ」と発言した問題で、前田市長は25日、市役所で記者会見を開いて被爆者らに対して謝罪した。「(被爆者団体が反発しているという)新聞記事を確認した。軽はずみな表現で関係者を傷つけてしまったことは、政治家として許されないことだ思う。非常に深く反省している」と述べた。
前田市長は19日の市議会一般質問で、被爆地周遊について「広島の原爆ドームに来たい人が、長崎にもあることを理解し、二つを回った後、四国のお遍路回って、お悔やみトリップじゃないけれども。滞在時間が拡大するわけですよ」などと発言。広島県の被爆者団体から「撤回すべきだ」との声が上がったほか、下関市議7人が発言の撤回と謝罪を求めていた。
前田市長は記者会見で「広島・長崎の被爆地の人たちを軽んじて、揶揄(やゆ)するような気持ちはみじんもなかった」と釈明。「最初は『お悔やみツアー』という言葉が思い浮かんだが、ちょっと失礼に当たるかなと思い、思いついたのが『トリップ』だった」と発言の経緯を説明した。
長崎で暮らしていた経験もあり、「身近に感じているので、その分緩みが生まれてしまったのか。もう少しいい表現ができなかったかと、自分の能力の低さを反省している」と声を落とした。
被爆者団体に直接謝罪するかについては「まだ整理がついておらず、今から考えたい」。市議会の議事録からの発言の削除は「今のところ考えていないが、必要になれば考えていきたい」と述べるにとどめた。発言撤回については「市議会はもう終わっている。表現がまずかったということで、趣旨は変わるものではないというところでご理解いただきたい」とした。【山本泰久】
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