化学兵器への対処法を研究する陸上自衛隊化学学校(さいたま市北区)が、国際機関「化学兵器禁止機関」(OPCW)から認証を受けて技術協力機関となり、25日に同校がある大宮駐屯地で記念式典が開かれた。OPCWから認証を受けるのは国内初。分析能力が国際的に認められ、今後調査に協力する。
OPCWは、化学兵器禁止条約(CWC)に基づき1997年に創設。本部はオランダ・ハーグにある。加盟193カ国・地域が条約を順守しているのかを監視し、2013年にノーベル平和賞を受賞した。OPCWの技術協力機関は「指定ラボ」と呼ばれ、米国やロシア、中国など25カ国の32機関が認証されている。
陸自化学学校は試料分析の試験を6年がかりでクリアし、試験所としての国際規格も取得。今年8月に認証を受けた。今後、OPCWからの依頼に基づき、化学兵器の使用が疑われる地域で採取された水や土壌などを分析し、成分の特定に取り組む。指定ラボのみに提供される化学兵器に関する最新の知見にアクセスできるようになる。
25日の記念式典では、榑林寿弘校長が「試験の難易度は極めて高く悪戦苦闘するも、分析技術基盤の整備を進め、研さんを愚直に重ねた」と認証に至る経緯を振り返った。出席した木原稔防衛相は報道陣の取材に「新たな分析施設の建設や、人員の増員に向けて調整を進める」と語った。
陸自化学学校は、化学・生物兵器や放射性物質、核を用いた攻撃からの防護策の研究や教育訓練に携わり、95年の地下鉄サリン事件では警察の捜査に協力した。【松浦吉剛】
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