能登半島の記録的な豪雨の被災地では、元日の震災に続いて大規模な断水に見舞われている。復興半ばで再びライフラインが寸断され、被災者らの疲労の色は濃い。
能登半島の北端にある石川県珠洲(すず)市三崎町の一帯は大雨となった21日以降、断水が続く。給水車が派遣された市立三崎中学校には25日朝、ポリ容器やペットボトルを抱えた住民十数人が給水に訪れた。
農業の鍵谷加寿雄さん(68)は「普段の暮らしに戻りかけたところでまた断水。だが、市内では家を失った人や命を落とした人もいる。不満は言えない」と話した。
輪島市では市立輪島病院で21日夕から水道が使えず、病院内の貯水槽の水と給水車による給水でやり繰りした。トイレはポータブル式に切り替えて節水を図った。断水は23日に解消されたという。
県によると、大雨による水道管の破裂のほか、停電による水道施設のポンプが止まったことにより、各地で断水が起きている。25日午後3時現在で、輪島市3109戸▽珠洲市1750戸▽能登町210戸の計5069戸――で供給が途絶えている。停電も計約1770戸に及ぶ。
1月の地震では一時、県内計11万4000戸あまりが断水した。輪島、珠洲両市ではほぼ全域に広がり、復旧までに数カ月がかかり復興の足かせとなった。
珠洲市の泉谷満寿裕市長は25日、報道陣の取材に「一部の地域は浄水設備の復旧の見通しが立たない。地域の人たちと集団避難・移転を相談する必要があるかもしれない」と話した。【稲生陽、洪玟香】
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