能登豪雨で、石川県警は25日、輪島市久手川(ふてがわ)町の塚田川などで新たに2人の遺体が見つかったと明らかにした。これを受け犠牲者は10人となった。また、輪島市の海岸付近でも男性の遺体が見つかった。県警などは、豪雨との関連を調べている。
一方、能登町の北河内地区は、周囲からの孤立状態が解消されていない。
地区は能登町の中心部から北西10キロほどの場所にあり、輪島市に隣接している。記者は24、25の両日、地元の消防団員らに同行して山道を歩いて現地に入った。
ひどく壊れた道路の上を歩き、崩れ落ちた斜面の縁を進む。3メートルほどの崖をロープを使って乗り越えなければならない場所もあった。倒木で塞がれた場所では、泥水でぬかるんだ獣道から回り込んだ。
約1時間かけ、4キロほどの道を歩くと住宅が集まったエリアに出た。川沿いにある田んぼに植えた稲が氾濫でなぎ倒され、田んぼに向かう橋も崩落している。おびただしい数の流木が折り重なっている。
地元住民によると、元日の地震では停電と断水が続き、山の地下水でしのいできた。だが、豪雨の影響で地下水も使えなくなったという。地震でけが人はいなかったが、今回は河内川の氾濫に住宅が巻き込まれ、足首を骨折するなど2人がけがをしたという。
「地震よりも被害が大きい。水害は恐ろしい」。こう嘆くのは区長の池田光正さん(74)だ。相次ぐ災害に地区から住民が離れていくことを心配し、「これからどうすればいいんだ……」と言葉少なだった。
支援物資の保管場所として、自宅の寺院を提供している竹橋祐美子さん(69)は「困った時はお互い様。ここの地区はみんな家族のような存在なので、助け合うしかない」と話した。【島袋太輔、阿部弘賢】
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