「ロートスケートボードパーク奈良」で練習する若者たち=奈良市提供

 2023年9月に奈良市法蓮佐保山4の鴻ノ池運動公園(ロート奈良鴻ノ池パーク)内で開業した「ロートスケートボードパーク奈良」の利用者数が目標を大きく下回っている。市は「周知不足」を遠因に挙げ、今後は競技大会の開催などで認知度の向上につなげる方針だ。一方、市内の各駅周辺で滑っていた若者の多くがパークに流れ、トラブルは減っている。

 7~8月のパリ・オリンピックで日本人選手が金メダル二つを獲得したスケートボード競技は、東京五輪(21年)で正式種目になり人気が急上昇した。これを受け、市は県内4カ所目となる公営スケートボード場を1億3800万円かけて公園内の広場に整備した。

 初心者向けの屋根付きエリアや「ボウル」と呼ばれるくぼみがある愛好家エリア、階段や手すりを設置した選手エリアなど、約2000平方メートルの敷地を技能に応じて区分。三つの企業・団体からなる指定管理者「奈良市スポーツまちづくり推進パートナーズ」が運営を担い、競技人口の増加や有望選手の育成を目指してきた。

 利用料金は1日500円(高校生以下250円、土日祝日は2割増)に抑え、いったん払えばその日は使い放題にした。照明完備で、午後9時まで営業しており、若者が利用しやすい。

 近畿圏の同様施設への聞き取りなどから1日の平均利用を約40人と算定し、年間約1万人と見込んでいたが、開業から9カ月が過ぎた6月末時点で計約4000人にとどまる。年間集計はまだ出ていないが、市スポーツ振興課は「見込みを大きく下回りそう」と話す。

 伸び悩む要因の一つに「開業前や当初は主要駅の大画面などでPRしたが、その後の周知が不足していた」ことを挙げる。そのため、24~25年度中に競技大会の開催や、初心者用教室の開講などを調整している。

 ただ、パーク開設による効果も大きい。利用者は10~20代が中心だが、パーク完成をきっかけに挑戦を始めた60代が頻繁に通うなど幅広い世代の利用につながっているほか、以前みられた駅前で滑る若者らによる騒音や歩行の妨げになるといった問題が解消されつつある。駅周辺で滑らず、率先して仲間をパークに誘う若者の動きもみられる。

 市は「市民から『問題はかなり軽減した』という声が届く。駅前の安全性も高まり、スケートボードのイメージ改善につながっている」と話している。【山口起儀】

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