水難事故を装って男性を殺害したとして、大阪府警は27日、大阪府富田林市の無職、井上司容疑者(61)を殺人容疑で逮捕した。容疑者は亡くなった男性が加入していた死亡共済金の受取人になっており、府警は共済金を得る目的で事故死を偽装したとみている。
亡くなったのは容疑者の知人で大阪府八尾市の無職、池田明弘さん(63)。井上容疑者は2023年12月上旬、府内の柏原市を流れる大和川に池田さんを何らかの方法で転落させ、溺死させた疑いが持たれている。
池田さんの遺体は大和川の下流で12月15日に発見された。この際、背負っていたリュックサックの中から筋力トレーニングで使われるダンベルなど計7キロの重りが見つかったことから、府警は事件の可能性も視野に捜査を開始した。
捜査関係者によると、井上容疑者が12月に入ってからホームセンターでダンベルなどを購入していたことが判明。池田さんが加入していた死亡共済金の受取人の名義が、容疑者になっていたことも明らかになった。共済金は何らかの理由で支払われなかったとみられる。
池田さんが川に落ちる直前まで、井上容疑者が一緒にいたことも捜査で分かった。池田さんには自殺する動機もなく、府警はこれらの状況証拠から井上容疑者が殺害したとの見方を強め、逮捕に踏み切った。
府警は8月、井上容疑者を別の男性に対する恐喝未遂容疑で逮捕。9月には池田さんの口座から現金を引き出したとする窃盗容疑で再逮捕していた。
井上容疑者は逮捕前、毎日新聞の取材に「大和川の河川敷には、筋力トレーニングをするために池田さんと行っただけだ。自分は殺していない」などと話し、殺害への関与を否定していた。【林みづき、斉藤朋恵】
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