2018年に大阪府羽曳野市で会社員の男性(当時64)が刺殺された事件で、殺人罪に問われた同市の無職、山本孝被告(48)の裁判員裁判の判決公判が27日、大阪地裁であった。山田裕文裁判長は「隣人とのいさかいによる悪感情が増幅し殺害したと推認できる」として懲役16年(求刑懲役20年)を言い渡した。

事件は直接証拠がなく、凶器も見つかっていないため、犯人性が争点だった。大阪府警が発生現場そばに住む山本被告を逮捕したのが事件発生から4年後の22年2月で、捜査段階で被告宅から殺害の直接的な証拠は見つからなかった。

判決理由で山田裁判長は現場周辺のドライブレコーダーに映っていた不審人物について「着衣の特徴、体格が一致する別人物がたまたま通りがかったとは考えがたい」と指摘。「被告が本件の犯人であることに合理的な疑いの余地はない」と結論づけた。

判決によると、被告は18年2月、羽曳野市の路上で会社員の男性の背後から左胸を刃物で1回突き刺し、出血性ショックで死亡させた。

これまでの公判で、被告は一貫して無罪を主張していた。弁護側は、山本被告は事件発生当時に家族とテレビなどを見ていた際に短時間外出したものの、この間に被害者を殺害し凶器などの証拠隠滅はできないとしていた。

一方、検察側は、被告が交際相手の間に隣人トラブルを抱え、殺害動機があったと指摘していた。

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