保護司制度の見直しを議論する法務省の有識者検討会が27日、最終報告書を取りまとめた。議題となった報酬制の導入は見送り、実費弁償を充実させる。担い手不足解消のため、現在は2年の任期の延長や退任年齢の引き上げのほか、面接時の安全確保策も盛り込んだ。

法務省は内容を踏まえて保護司法の改正作業を本格化させ、早ければ来年の通常国会に改正案を提出する。

検討会では、実費以外は無報酬の保護司が重い負担を強いられているとして、報酬制に移行するかが焦点となった。だが、慎重意見が相次いだことを受け、保護司の活動は「自発的な善意を象徴するもので報酬制はなじまない」と結論付けた。一方、実費を弁償する制度を充実させるとした。

このほか、大津市の保護司殺害事件を受け、新たな安全確保策が盛り込まれた。複数人の保護司による面接の活用や、緊急時の保護観察所との連絡態勢強化を提言。事件を分析し、対象者の暴力性などを判定する仕組みの充実も求めた。

原則66歳以下とする新任の年齢制限を撤廃するだけでなく、再任の上限とされる76歳未満を超えても任命される特例制度の運用状況を見極め、退任年齢を引き上げることも検討すべきだとした。若手に十分な活動機会を持ってもらうため、1期2年の任期延長にも言及。法務省によると、3年を想定する。

保護司法で「地域社会の浄化をはかる」などと定める保護司の使命については、時代錯誤との意見があるため文言の見直しを検討すべきだと指摘。今後の社会情勢や価値観の変容に対応できるよう、少なくとも5年ごとに法務省が制度の在り方を検討するとした。〔共同〕

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