乗客106人と運転士が死亡、562人が負傷した兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故は25日、発生から19年を迎えた。事故現場では朝から追悼慰霊式が営まれ、参列した遺族ら306人が犠牲者を悼んだ。
事故現場に整備された慰霊施設「祈りの杜(もり)」では、発生時刻の午前9時18分に合わせ、遺族やJR西日本の幹部らが黙とうをささげた。
慰霊式で、JR西の長谷川一明社長は「取り返しのつかない事故を起こしてしまったことを改めて深く反省している。事故の悲惨さや命の大切さを心に刻み、鉄道の安全を追求していく」と述べた。政府代表として出席した国場幸之助・副国土交通相は「安全の確保は公共交通機関の最も重要な使命。事故の教訓を踏まえ、組織一丸で安全管理体制の構築に努めていく」と語った。
参列した遺族らは、献花して静かに祈りをささげた。事故列車に乗り合わせた次男(37)が重傷を負った大阪府高槻市の会社員、西尾裕美さん(66)は「二度とこのような事故を起こしてはいけない。社会が関心を持ち続け、忘れないことが何よりも大切だと思う」と話した。
事故発生時刻の直前には、快速電車が現場のカーブを25キロまで減速して通り過ぎた。車内では「事故を心に刻み、安全運行に努め、改めてお客様から安心してご利用いただけるよう全力をあげて取り組んでまいります」とのアナウンスが流れた。乗客の中には目を閉じたり、現場に向かって手を合わせたりする人がいた。
先頭車両に乗った兵庫県三田市の会社員、稲岡大晟さん(22)は「二度と悲惨な事故が起きてほしくないという思いで来た。犠牲者の方々は苦しかっただろうなと、乗ってみて強く実感した」。大阪府豊中市の会社員男性(36)は「事故後入社の社員が多くなっていると聞く。改めて油断せずに日々の仕事に取り組んでもらいたい」と話した。【洪玟香、土居和弘、澤俊太郎】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。